ぬか漬けを始めてみたものの、思ったような味や風味になっていない。本当に自分がやっているお手入れ方法で合っているのかな。
ぼくもぬか漬けを始めたての頃は同じような悩みを持っていました。
これまでぬか漬けをやってきて大切だと感じているのは、基本をしっかり押さえた上で自分好みの味付けになるように試行錯誤すること。
今回はぼくがぬか漬けをやってきて、ポイントと感じたことを基本のお手入れと悩み別の対処法と分けてご紹介していきます。
ぬか漬けビギナーの方にもわかりやすいように、項目を分けて端的に解説しましたので、ぬか漬けづくりの参考にしてください。
基本のお手入れ
ぬか漬けを始めるときに最低限抑えておきたい基本のお手入れについて3点ご紹介します。
※ぬか床の総量が1kgということで進めていきます。
- 混ぜる
- 漬ける
- 保存する
混ぜる
ぬか漬けは毎日混ぜないといけないから大変と思っていませんか?実はぬか床を置いている場所の温度帯に応じて混ぜる頻度が変わります。
常温で漬けている場合は1日1回ぬか床を混ぜましょう。
冷蔵庫でつけている場合は3日に1回ぬか床を混ぜましょう。
常温で漬けるか冷蔵庫で漬けるかお悩みの方は、毎日漬けて食べたいか、毎日混ぜるのは大変と思うかで選択するといいかと思います。
ぼくも次の日すぐ食べたい時は常温に入れ、混ぜるのが面倒だなという日は冷蔵庫に入れるといったように、状況によって温度帯を決めています。
混ぜ方としてはぬか床の上下を丸ごと入れ替えるように行なってください。ぬか床の中は上から酵母、乳酸菌、酪酸菌の層になっています。丸ごと入れ替える意味は、酵母と酪酸菌の位置を入れ替えて発酵のバランスを調節することです。
漬ける
漬ける食品によって細かいやり方が変わってはきますが、漬け方のポイントは全ての食品で共通しているので、そのポイントについてご紹介します。
- 漬ける前に塩を揉み込む
- 空気を含ませないように埋める
- 壁面のぬかを落とす
漬ける前に塩を揉み込む
塩を揉み込むと食品の内側から水分が出てきて、味や風味が染み込みやすくなっています。
ぬか床にも塩が含まれていて同じような効果がありますが、事前に塩を揉み込むことで漬かるまでの時間を短くできます。
空気を含ませないように埋める
ぬか床と食品が接しているところから味は染み込んでいきます。接する面積を最大にするため、空気を含ませないように漬けるようにしてください。漬かり具合のムラも減りますよ。
漬け方としては、平らなぬか床に食品を真っ直ぐ押し込み、上からぬかをかけて上から空気を抜くように押して最終的に平らにならします。
壁面のぬかを落とす
ぬか漬け内は乳酸菌が乳酸を出すことによって雑菌が繁殖することを抑えています。しかし、乳酸菌は酸素が好きではなく、空気に触れているとうまく育たず雑菌を抑えるほど乳酸がない状態になってしまいます。
壁面についているぬかは空気に触れる部分が多く乳酸菌が育たないので、雑菌が増えてしまう可能性が高いです。雑菌はぬか漬けの味・風味を悪くしてしまうので、ぬか漬けをかきまぜた後は毎回壁面のぬかを落とすようにしてください。
保存する
ぬか漬けをしばらくやらないときには冷蔵庫か冷凍庫で保存しておくと、また始めたいときにすぐ始められるのでおすすめです。
2週間までは冷蔵庫、それ以上は冷凍庫と覚えておいてください。それではそれぞれの保存方法について解説していきます。
冷蔵庫
冷蔵庫保存の場合はぬか床の容器ごと入れておきます。保存のときのポイントは雑菌が生えづらくなるように、入れておいた食品を抜いておくこと、ぬか床を平らにならしておくこと、壁についたぬかをしっかり拭き取っておくこと、です。
冷凍庫
冷凍庫保存の場合はぬか床をジップ付き袋に入れて冷凍庫に入れておきます。こちらのポイントはぬか床を袋に入れるときに板状に広げること。ぬか漬け再開時にはぬか床を自然解凍して使いますが、その時間を短くするためです。
また冷凍庫内の奥の方に置いておくと、温度変化が少ないためより長持ちします。
お悩み別対処法
水っぽい
野菜を漬けるのを続けていると野菜から出た水分がぬかに移って水っぽくなります。水分をふきんなどで吸い取る方もいますが、ぼくは足しぬかをおすすめします。ぬか床の水分を吸い取ってしまうと、栄養成分も一緒に吸い取ってしまうためです。
足しぬかのやり方は、50gのぬかと7gの塩を入れて混ぜるだけです。
水気が足りない
ぬか漬けを始めたときや足しぬかをしたときに起きやすい症状です。簡単な対策としては、煮沸後冷ました水を少量ずつ加えて水気を確かめることです。
塩気が強い
単純に塩を入れすぎてしまったことが原因の可能性大です。塩分を薄める対策をとりましょう。具体的には50gのぬかと50gの煮沸後冷ました水を入れてみると良いでしょう。それでも塩気が強い場合は、ぬか床を100g捨ててぬかと水を入れてみて様子を見るといいでしょう。
塩気が弱い
食品を漬けておくと、塩分が食品に取られてぬか床内の塩分が減ってきてしまいます。対策としては単純に塩を足すか、食品を漬けるときに塩揉みをすればよいです。
酸味が強い
乳酸菌が過剰に発酵していると菌が出す乳酸によって酸っぱくなってしまいます。対策としては制菌作用のあるとうがらしをちぎって入れた上で、基本の混ぜ方の通りぬか床を混ぜて、菌のバランスをよくするといいでしょう。
酸味が弱い
乳酸菌があまり増えていない状態です。水分を多く含む野菜を漬け込んで乳酸菌を増やせば酸味のあるぬか漬けらしい味になりますよ。
旨味が足りない
旨味の強い成分としてグルタミン酸とグアニル酸、イノシン酸があります。グルタミン酸は昆布に多く、グアニル酸は干しいたけ、イノシン酸はかつお節に多く含まれています。
細かく刻んでぬか床に入れるとよく味が出ますよ。
苦味が強い
苦味が出てしまうのは、漬けた食品が苦味成分を含むか、雑菌の過剰発酵が原因として考えられます。
対策としては1種類の食品だけ連続して漬けないことと、特にぬか漬け始めたての時に基本に忠実にしっかり混ぜることですかね。
最悪ぬか漬けを作り直す方が早いこともあるので、苦味のレベルで判断ください。
表面が白い
カビのように見えますが、こちらは過剰に増えた酵母です。食べても体に害はないので、通常通り混ぜてもいいです。ただし、風味が変わっているので、得意でない人は表面の白い部分を取り除くといいですよ。
わたのようなものが点在している
わたあめのように美味しそうに見えるかもしれませんが、それはカビです。混ぜ込んではいけません。表層の2cmくらいを取り除き、残ったぬか床を別の容器に避けます。元の容器を洗剤でしっかり洗って乾かした後、ぬか床を戻してぬか漬けを再開してください。ぬか床が減っているので足しぬかで量を調節してくださいね。
シンナーのようなにおいがする
酵母が過剰発酵してしまうと、シンナー臭やアルコール臭が出てしまいます。
ぬか床は乳酸菌の出す乳酸によって酸性になっています。酸が強いと多くの菌たちは弱ってしまいますが、酵母は酸に強く生き残ります。酵母は酸素が好きな菌なので、ぬか床を混ぜずに放置しておくと過剰発酵してしまいます。
対策としては基本に忠実に混ぜることですね。
終わりに
今回はぬか床の基本的なお手入れと悩み別の対処法について解説してきましたが、いかがでしたか?
まずは基本に忠実に管理して、問題が起きてもめげずに対処していくと愛着が湧いてきますよ。
ぜひぜひぬか漬けライフを楽しんでください。